スペース スペース スペース スペース スペース スペース スペース
梅垣織物 スペース
梅垣織物 会社案内 商品紹介 こばなし お問合せ リンク集 スペース
梅垣織物 スペース

facebook


UMEGAKIORIMONO
online

ときどき日記

《 バックナンバー 》
西陣について

帯の素材

製作の行程

織物組織(綜絖)

織物組織(他)

着物(友禅)

和装産業について 一

和装産業について 二

和装産業について 三

消費者の立場 一

消費者の立場 二

(5)


展覧会やイベント 一

(9)


展覧会やイベント 二

(0)


その他のこばなし

その他のこばなし

その他のこばなし

その他のこばなし

その他のこばなし


《 年 別 》














《 本格的な産地の危機 》
[Vol.130/2018年05月]

今年もあっという間にゴールデンウイークとなってしまいました。 今年は年明けから「はれのひ」倒産など和装業界にとっては余り前向きな話もなく、商況も非常に厳しい状態であるように思われます。 「こばなし」では出来るだけ前向きな話を掲載しようと思っておりますが、昨年の夏以降の商況は今迄の長期低落傾向の業態だけでは収まりきらない状態のように思われます。

バブル崩壊以降、日本経済がデフレ経済に陥る中、消費不況を克服するために各業界は様々な対応をしてきました。既存の重厚長大産業や金融機関はリストラを余儀なくされましたし、アパレルや家電業界など「価格破壊」といわれるような衝撃的な価格を提示することで消費喚起した業界もありました。このようにすべての産業においてIT化を伴う構造変化が起きました。他方、伝統産業である和装業界においてIT化による構造変化は難しく、消費不況の対策として催事企画販売による既存消費者への需要喚起をしました。このことは結果的に販売経費の上昇を招き、当然販売価格も上昇します。そのために和装業界における生産、流通、小売りの業態は最終消費の三十年以上の長期低落傾向において、非常にバランスの悪いものとなりました。和装の最終消費金額はバブルの頃には約一兆八千憶円あったものが今や三千億と約六分の一になっています。さらに産地の出荷額は西陣産地を例にとれば約二千億が百億余りと二十分の一となっています。つまり和装業界の三十年にわたる長期販売数量の低落に対する業界全体としての対応は販売経費の上昇を補うための小売り価格の上昇、もしくはそれに伴う産地出荷の商品単価の低下に支えられてきたといってもよいのでしょう。

日本政府がデフレ脱却を最大の政策課題として取り組み、インバウンド対応や人口減少に伴う労働環境の改善、つまり賃上げが現実味をおびてきた現状においては、本来労働生産性を上げることで賃金上昇を吸収する以外には解決方法は無いはずです。しかしながら伝統産業たる和装業界においては生産段階では生産性向上は現実的ではなく、流通小売り段階では上述したようにそれに逆行しているように思われます。

先日、ある織屋との会話で「三年ぶりに企画商品の注文をもらったのだが、三年前からすると糸価が倍になった。得意先もある程度は理解してくれるが、現在の状況を考えるとどうしたものか。単純に売価を上げれば当然小売価格も上がり、特に企画商品などは小売価格に対応できるとは思われない。だからと言って原価を割っては生産できない。」との会話がありました。 長期構造変化による和装業界不況は、生産、流通、小売りの各段階で倒産を伴う痛みを強いられてきましたが、客観的には上述したように生産段階がそのしわ寄せを一番受けていたと思われます。生産性の向上が期待できない和装業界ではデフレも深刻ですが、インフレ経済はもっと深刻です。ましてや和装の総需要が拡大しなく、原料や生産コストが産地価格に反映されにくい環境での原材料や経費の増加は疲弊しきった産地には耐えられないのが実情です。 このような産地の現状では生産を継続することが難しく、山津波前夜の地鳴りのような悲鳴が聞こえてきます。 業界として根本的な構造変化を成しえなかった帰結がもうすぐ具体化しそうな気配がします。