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ときどき日記
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《 戦後経済体制の崩壊 》 |
[Vol.210/2025年04月] |
「こばなし」が遅くなりました。すみません。
四月に入りトランプ大統領による相互関税が世界に波紋を与えています。
第二次世界大戦後、アメリカはその圧倒的な軍事力、経済力をもとに世界の覇権を旧ソビエト連邦と覇権を争っていました。西側の自由貿易体制のドンとして世界通貨基金、世界銀行を設立し、そして関税及び貿易に関する一般協定を世界のスタンダードに推し進めることで
50年代、60年代においてアメリカンドリームを謳歌してきたのです。
その後に西側諸国の発展によりアメリカの影響力が低下し、ドルショックやプラザ合意を経てアメリカの経済力は低迷期を迎えますが、政治的には旧ソ連の崩壊により唯一の超大国となりました。21世紀に入り、ITやシェールオイル革命を経て産業構造を断行することでアメリカ経済は持ち直しましたが、その構造改革に取り残された旧来の製造業に従事している人々がいました。
トランプ大統領の支持層はまさにこのような人々で、中西部のラストベルトに代表される産業地域に住む白人労働者が多いのです。
このような状況に加えて移民や宗教、人種問題も相まってアメリカは分断構造になっています。 トランプ大統領の関税政策はこのような支持層に呼応するように世界中に関税をかけて自国の旧来産業を復活させようと目論んでいますが全く現実的ではないでしょう。
戦後、80年に渡り自由貿易を一番享受し、その仕組みによって反映してきたアメリカが自らそのルールを破ることは常識外れとしか言いようがありません。
また、自由貿易体制のもとに世界にサプライチェーンを張り巡らせ言わば良い所取りをしてきたアメリカがサプライチェーンを切り捨て、全てをアメリカ国内で生産しようなどとは全く現実的ではありません。
詰まるところ時代の大きな流れには逆らえないのです。それは太古からの歴史が証明しています。 十九世紀初頭に帝国主義の終焉と共に第一次世界大戦が勃発し、その後のブロック経済の影響で全体主義が台頭することをきっかけに第二次世界大戦という史上最大の悲劇を招きました。人類が百年前の経験を活かし、この窮地に対応できることを願うばかりです。
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